産後の抜け毛がひどい!元通りになるまでの時間は?


噂には聞いていましたが、子供を産んでから毎日すごい量の抜け毛があります。人目に触れるのも恥ずかしいので外出する際は帽子をかぶっていますが、いつになったらこの状況を抜け出せるのか不安です。元通りになるまでにどれぐらい時間がかかるものなんでしょうか?
「産後の抜け毛がひどい!」質問に回答します!
産後の大量の抜け毛のことを専門的には「分娩後脱毛症」といいます。妊娠中に増加していた女性ホルモンが産後、急激に減少することでヘアサイクルが大幅に乱れてしまうのが原因です。
もう少し具体的に説明すると、妊娠中は流産を防ぎ、妊娠を継続させるために女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。このプロゲステロンの分泌は出産するまで続くんですが、プロゲステロンには髪の成長期を延ばすという働きもあるんです。
女性ホルモンの髪への影響は?
髪のハリやコシ、ボリュームなど髪質や髪の成長に影響を及ぼすのはエストロゲンの働き。加齢とともに髪が痩せてくるのは、エストロゲンが減少するからです。プロゲステロンには、成長期に入っている髪の寿命を延ばすという働きがあり、妊娠中は抜け毛が少なくなります。
本来ならとっくに抜けているはずの髪の毛が妊娠中はプロゲステロンの作用により、延命されるため、抜け毛が少なくなります。この延命されて抜けずに残っていた髪の毛が、産後、プロゲステロンの減少とともに一斉に休止期に入って抜け出すため、大量の抜け毛がでてきてしまうんですね。
髪の毛の量というのは、ヘアサイクルによって発毛と脱毛のバランスが調整されているので、常に一定に保たれていますが、妊娠中・産後にかんしては、説明したようにプロゲステロンの作用により、例外的な状況が生まれてしまうわけなんです。
産後3~4ヵ月から目立ちはじめ、回復するまで1年以上かかることも!
産後の大量の抜け毛がいつからいつまで続くかは個人差もありますが、だいたい平均すると、抜け毛は産後3ヶ月~4ヶ月から目立ちはじめて、6ヶ月ぐらいまでがピークといわれています。
それから抜け毛が収まっても新しい髪の毛が生えてくるまでには時間がかかります。髪の毛は1か月1cmのペースで成長するものなので、それなりの髪の長さや毛量になるまでは1年から1年半はかかると思っておいたほうがいいです。
「子供用のカツラがつくれるぐらい」髪が抜けてしまう人もいるようですし、抜け毛がおさまったと思ったら、今度はツンツンしたアホ毛に悩まされるようになるため、髪型・ヘアスタイルには当然、苦労することになります。
薄くなった前髪や頭頂部を隠す髪型・ヘアスタイルは?
細くなってしまった髪の場合はドライヤーで浮かせたり、スタイリング剤を使うことボリュームを出すことができますが、産後は髪が抜けてしまって「ない」ので、それができません。
短くなった髪の毛に合わせてカットしてもらう。
前髪を作るのは諦めて、オールバックにして、カチューシャやヘアターバンを巻く
薄くなっている頭頂部あたりで髪の毛を結んで隠す。
子育てで手一杯のことを考えると、おしゃれなヘアアレンジを考える余裕もやる時間もないはずなので、思い切って髪をショートにしたり、ヘアアクセサリー等を使って隠すというのが一番手っ取り早いような気がします。
パーマ、カラーはやっても大丈夫?
髪のボリュームを少しでも多くみせようとしたり、朝の寝癖対策や手入れ時間の短縮のためにパーマをかけたいという人もいると思いますが、産後しばらくは頭皮も髪もデリケートな状態なのでパーマ液が刺激になってかぶれるリスクが高いです。
カラーリングも同様で、妊娠中や授乳中はホルモンバランスの影響で白髪が増えることもあるので気になっている人もいると思いますが、産後のデリケートな頭皮に酸化染料を使うとアレルギーの発症リスクが高まるので、こちらも止めておいたほうがいいです。
いつから美容室に行けるようになるかは体調と周囲のサポート体制、赤ちゃんの様子や授乳間隔などもあるので一概にはいえません。「心身ともに余裕がでてきたら」という感じでしょうか。
2人目、母乳育児をしている人のほうが産後の抜け毛はひどくなる!?
産後の抜け毛については2人目のほうが抜ける量が増えるとか、母乳育児をしている人のほうが激しいといった話もよく聞きますが、これについては人によって印象が違うようです。
2人目を生んだときのほうが抜け毛がひどかったという人もいれば、2人目のほうが少なかったという人もいるので、その時の頭皮や体のコンディション、育児のストレスや疲労にも左右されるということだと思います。
母乳については、母乳をあげると、髪にいくはずの栄養がとられてしまうから抜け毛がひどくなるとか、髪の回復が遅くなるといった話もあるんですが、母乳育児をしている方も完全ミルクの方も抜け毛に悩んでいるのであまり関係ないと思います。
ただ、母乳のほうがミルクに比べて腹持ちが悪いので、夜中に起こされてしまうことが続いて睡眠不足になりやすいということはいえるので、睡眠不足の影響と母体にかかるストレスや疲労が抜け毛を促進したり、薄毛からの回復に影響するということはあるかもしれません。
反対に産後の抜け毛がひどくなるとか薄毛が回復しないといったことに明らかに関係がありそうなのが、「出産年齢」です。
出産年齢が高くなるほど体への負担が大きくなりますし、30代からは女性ホルモンが減少しはじめることもあって、出産と加齢のダブルパンチで髪や頭皮に相当の影響がありそうなんですね。
※帝王切開や難産で体力の消耗が激しいとなおさらこの傾向は強まります。
40代での高齢出産ともなると、出産をきっかけに薄毛がはじまってしまうということもあるようなので、積極的な頭皮ケアや育毛剤の使用で、乱れてしまったヘアサイクルを整えて毛根を活性してあげる必要が出てくるのではないかと思います。
産後の抜け毛を緩和したり、髪の回復を早める方法はある!?
産後の抜け毛の原因は産後特有のホルモンバランスの大変動ということもあって、時間が経てば自然とホルモンバランスが整ってくるにつれて髪も生え揃ってきます。
そのため時が解決してくれるのを待つというのが一番の解決策なんですが、産後2年も経つのに抜け毛が多い・続いているという人もいるようなんですね。
考えられるケースとしては、前述したように高齢出産のために体力が回復していないことや赤ちゃん中心の生活になることで疲労やストレスが溜まっていたり、睡眠不足など生活習慣が乱れて、ヘアサイクルが乱れた状態が続いていると考えられます。
産後の抜け毛対策も基本は生活習慣を整えて、シャンプーや育毛剤を利用した頭皮ケアで結構促進や毛根活性することで頭皮環境を整えることです。
睡眠の質と量を見直す
成長ホルモンが分泌されるときに頭髪も成長します。寝る時間や毎日バラバラだったり、寝る前に甘いものを食べて血糖値が高くなっていたり、睡眠時間が細切れになっていると深い熟睡ができないので、成長ホルモンの恩恵が受けられません。
子供中心の生活になると一番しわ寄せがくるのがお母さんの睡眠時間なので、大変ではありますが、量を確保できない場合はせめて質を高めるように努めましょう。
大豆製品、脂質を食べる量を増やす
ホルモンバランスを整えることを重視した食生活を意識しましょう。大豆製品(豆腐、納豆、豆乳、味噌)を食べてエストロゲン様作用のある大豆イソフラボンを摂取しましょう。また、女性ホルモンの材料になるコレステロールを摂取することも忘れずに。
産後の体力回復を考えるとタンパク質は必須。それから出産時の出血や悪露、母乳によって失われてしまう鉄分の補給も欠かせません。いみじくもタンパク質と鉄分は髪の発育に欠かせない成分でもあります。
シャンプーを変える、育毛剤を使ってみる
ラウレス硫酸、ラウリル硫酸を洗浄成分としたシャンプーは産後のデリケートな頭皮には乾燥やかゆみの原因になることがあります。また、抜け毛を気にしてシャンプーで洗えていないことも皮脂が酸化して過酸化脂質になる要因になるので頭皮を清潔に保つことは大事です。
乱れたヘアサイクルを整える効果としては、やはり育毛剤は欠かせないので頭皮に刺激となる成分を配合していない無添加の育毛剤などを利用して、毛根活性と血行促進を心がけることで抜け毛予防や育毛に役立つはずです。
頭髪外来で一度、診てもらう
頭髪外来では血液検査もおこなっているので、それがきっかけで抜け毛の本当の原因になっている病気が見つかったり、ホルモン分泌の異常が見つかることがあります。
髪の状態を診てもらい、悩みを相談するだけでも気持ちがだいぶ変わるので、産後の抜け毛が深刻な場合や長引いている時は、一度、頭髪外来にいって診てもらったほうがいいかもしれません。